日本からイギリスへ
ワンちゃんやネコちゃんとお越しになる飼い主様へ
〜イギリス到着後に安心して生活を始めていただくために〜
1.獣医のかかり方
かかりつけ動物病院(General Practice / GP)に登録して受診するのが基本です。
・原則として予約制
・夜間・休日・緊急時は Emergency / Out-of-hours clinic を利用
・日本のような「飛び込み受診」は難しい場合があります。
渡英後できるだけ早い段階で、
・最寄りの動物病院に登録
・健康チェックを兼ねた初診
を受けておくことで、急な体調不良時にも安心です。
2.ワクチン
「コアワクチン(基本)」と「追加ワクチン(任意)」があります。
2-1 犬
■コアワクチン:DHPワクチン(3年毎)
予防対象:
ジステンパー
犬アデノウイルス(犬伝染性肝炎)
犬パルボウイルス感染症
いずれも重症化しやすく、命に関わる病気です。
■追加ワクチン①:レプトスピラワクチン(特に重要)
・人にも感染する人獣共通感染症
・野生動物(特にネズミ)の尿で汚染された水や土壌から感染
イギリスでは、毎年の接種が推奨されることが一般的です。
■追加ワクチン②:ケンネルコフワクチン(有効期間1年間)
・咳を主症状とする呼吸器感染症
・他の犬との接触で感染しやすい
ドッグラン、ペットホテル、トレーニングクラスを利用する場合は接種をすすめられることがあります。
■追加ワクチン③:狂犬病ワクチン
イギリスへワンちゃんと入国するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
・マイクロチップ装着後に狂犬病ワクチンを接種
・ワクチン接種から21日以上経過
・規定に沿った公式証明書の所持
・抗体検査(おすすめ)
詳しくは下記のリンクをご参照ください。
動物検疫所:
https://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/import-other.html
イギリスでは、
ワンちゃんに対する狂犬病ワクチン接種は法律上の義務ではありません。
ただし、
・将来、再び海外へ渡航する予定がある
・EU諸国への移動の可能性がある
場合には、接種を継続した方が安心な場合もあります。
さらに、日本出発前に、マイクロチップによる個体識別、複数回の狂犬病予防注射、採血及び狂犬病に対する抗体価の確認を行い、さらに海外で必要に応じ追加の予防注射などを行うことにより、海外において180日間の輸出待機をする必要なく、日本帰国時の係留期間を12時間以内とすることができます。
詳しくは、下記のリンクをご参照ください。
動物検疫所:
https://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/shortstay.html
2-2 猫
■ コアワクチン:FVRCP(毎年)
・猫ウイルス性鼻気管炎
・猫カリシウイルス感染症
・猫汎白血球減少症
完全室内飼育の猫でも、接種が強く推奨されます。
■ 追加ワクチン①:FeLV(猫白血病ウイルス)、3年毎
・外に出る猫
・他の猫と接触する可能性がある場合
・多頭飼育などの環境では、接種をすすめられることがあります。
■ 追加ワクチン②:狂犬病ワクチン
日本では、ネコちゃんに対する狂犬病ワクチン接種は義務ではありません。
しかしながら、イギリスへネコちゃんと入国する場合も、ワンちゃんと同様に狂犬病ワクチン接種が必須となります。
詳しくは、ワンちゃんの欄をご覧ください。
3.駆虫薬
「寄生虫が見つかってから治療する」のではなく、「定期的に予防する」という考え方が一般的です。また、イギリスと日本では注意すべき寄生虫の種類が異なることから日本で使用している駆虫薬が必ずしも有効でない場合があります。
寄生虫の駆虫は、ワクチンと同様、ペット自身の健康を守るだけでなく、人への感染を防ぐ(人獣共通感染症の予防)という意味でも重要です。
駆虫に関する日本とイギリスの違い(早見表)
| 寄生虫 | 日本 | イギリス |
| ノミ・ダニ・シラミ | 市販薬を使用 | 通年・獣医処方が主流 |
| マダニ | 地域・季節依存 | 地域・季節依存、散歩=常時リスク |
| 回虫・鉤虫・鞭虫 | 子犬中心 | 定期駆虫(無症状でも管理)が前提 |
| 犬糸状虫(フィラリア) | 最重要(月1回) | 優先度低い、代わりに肺虫へ重点 |
| 肺虫(※犬のみ) | 対策不要 | 最重要(日本との最大の違い) |
| 条虫(キツネ条虫等) | 限定地域 | 郊外・自然環境で注意(人獣共通感染症) |
| 寄生虫管理 | 市販薬による 自己管理が中心 | 獣医管理・処方が前提 履歴・記録が重視 |
多くの場合、月1回の内服薬やスポットタイプを定期的に使用します。
イギリスでは、獣医師の診療を必要としない駆虫薬をスーパー・ペットショップ・オンラインで見かけますが、これら市販薬は効果が限られており、イギリスで特に重要な肺虫(Lungworm)に対応していない製品が多くあります。
また、体重・年齢・生活環境に合わない使用は、効果不足や副作用の原因になります。さらにオンライン購入では品質や正規流通の確認が難しい場合があります。
ペットの健康を守るため、駆虫薬は必ず獣医師にご相談の上、処方薬をご使用されることを強くお勧めします。
3-1 犬
Lungworm(肺虫)←特に重要
イギリスで比較的多く見られる寄生虫感染症で、ナメクジ・カタツムリを介して感染し、都市部や公園でも感染リスクがあります。
■ 重要なポイント
・一般的なフィラリア予防薬では対応できない場合があります
・発見が遅れると重症化することがあります
・Lungwormに対応した駆虫薬を月1回使用することが非常に重要です
3-2 猫
ノミ(最も多い)、消化管内寄生虫(回虫・条虫など)、ダニ(外に出る猫)
※ノミは、完全室内飼育の猫でも人の衣服や荷物を介して持ち込まれることがあります。
4.ペット保険
イギリスでは獣医療費が日本より高額になる傾向があり、検査や治療内容によっては数百ポンドから数千ポンド単位になることもあります。
特に費用が高額になりやすいのは、以下のようなシチュエーションです。
・精密検査(血液検査・画像診断など)
・専門医での診療
・入院治療
・外科手術
・夜間・緊急診療
イギリスのペット保険は、加入後すぐにすべての補償が使えるわけではなく、一定期間(待機期間、数日から数か月)を経過しないと保険金が支払われない仕組みがあります。
渡英後、できるだけ早い段階でのペット保険加入、保証金額は8000ポンド以上のプランに加入されることをおすすめします。
なお、既往歴がある・高齢な場合、加入条件や補償内容に影響することがありますので、条件をよく確認されてください。
イギリスでは、獣医師が特定のペット保険を指定・強く勧めることは基本的に控えられているため、草野から紹介させていただくことは出来かねますこと、ご了承ください。
5. Triage Vetsのご案内
継続的な予防医療や健康管理のためには、相談しやすい「かかりつけ動物病院」を持つことがとても大切です。
Triage Vets (Finchley London)では、イギリスの生活環境に合わせたワクチン・駆虫・健康管理について継続的に相談いただけます。
また、草野の出勤日には日本語での対応が可能です。
※日本語対応は草野出勤日に限り、夜間・緊急時は英語対応となりますので、あらかじめご了承ください。
Triage Vetsをかかりつけ動物病院としてご利用いただくことで、日本への帰国時に必要となるペットの輸出証明書(Export Health Certificate)の発行についても日常の診療記録を含めたスムーズな対応が可能です。
草野はOV(Official Veterinarian)資格を有しており、輸出に関わる手続きについてもご相談いただけます。
Triage Vets をかかりつけ動物病院への登録を希望される場合は、下記サイトより事前登録をお願いいたします。
Register your pet – Triage Vets
併せて、以下の情報を [email protected] 宛にメールにてお送りください。
・現在利用されている動物病院の診療記録(服用中のお薬や検査記録など)
・生年月日
・マイクロチップ装着日
・ワクチン接種歴(狂犬病ワクチンを含む)
※メールの件名または本文に「草野からの案内で送付」と一言添えていただけますと、手続きがスムーズです。
※日本からイギリス入国時に、動物検疫所より発行されたAnimal Health Certificate をお持ちの場合は、併せてお送りください。
【最後に】
イギリスでは、「かかりつけ医」「予防医療」「保険による備え」がとても重要です。
事前に準備と知識を整えておくことで、ワンちゃん・ネコちゃんにとっても飼い主様にとっても、安心したイギリス生活につながります。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
草野寛一 Kanichi Kusano
Japan UK Veterinary & Business Services
[email protected]
+44 (0) 7496963944
https://jukvetbiz.com
